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入社3年目、新卒理系女子。ファーストキャリアにMRの選択肢はなかった彼女が今目指すものとは。

  • 最終更新:2019/09/03

    成果を出すまで「がんばった」は封印。魅力的な漢方の世界を広めるべく格闘中

    自らを「漢方オタク」と称する星野さんは、新卒入社して3年目の若手MR。農学部時代の研究で漢方の原料となるキノコに出会ったことをきっかけに漢方の世界に魅了されていった。しかしMRとして漢方薬を医師に紹介するのは並大抵のことではなく、がむしゃらな努力だけでは成果が伴わないことも。それでも漢方薬の普及を目指し、全力でMRとしての「闘い」に挑んでいく。その根底にあるのは、あまりにも深い漢方愛だった。

    激務のイメージで敬遠していたMR。それでも漢方最大手のツムラに身を置きたい!

    農学部出身の星野さんは、大学で漢方薬の生薬(原料)でもある「茯苓(ぶくりょう)」の栽培研究をしていた。知るほどに面白い茯苓の世界。そのとりこになり、他の生薬にも興味を抱くようになる。

    「茯苓はマツホドというキノコの菌核なんですが、調べていくうちにすごく魅力を感じて。漢方薬を構成する生薬は何百種類もあり、そのひとつひとつにストーリーがある。きっと茯苓以外の生薬も魅力的に違いない、もっと関わりたい!という想いが強くなりました」

    ツムラが医療用医薬品として手がける漢方薬は129処方。それに使われている119種類の生薬の1つである茯苓が、星野さんを漢方という魅惑の世界に導いたのだ。

    「大学時代に漢方に救われた経験も大きかったです。ニキビに悩んでいて、人の目を見て話すのも嫌なほど。でも病院で西洋薬を出してもらい使ったら悪化してしまったんです」

    藁にもすがる思いで漢方薬を処方してくれる医師のもとを訪れ、出された漢方薬を飲むと驚くほど改善。その素晴らしさに感動したというのだ。

    「私が効果を実感した漢方薬は、ツムラの129種のうちの1つ。あと128種も素晴らしい薬があるのかと思うと、こんなステキな製薬会社は他にないのではないかと身震いする思いでした」

    熱く語る星野さんの肌は、悩んでいたという過去が嘘のようにツヤツヤとしている。 こうして星野さんは、リケジョMRとして社会人生活のスタートを切った。

    山積みの仕事、終わりの無い学び、医師という営業相手、、、成果を出すために変えた彼女のマインドとは

    「医師はツムラのMRの話を意外と聞いてくれる」というのが、星野さんのMRに対する印象だ。

    「それでも初めの頃は本当に辛いことが多かったです。自分はまだ知識が無いし、営業相手は医師。半端な知識で臨んでコテンパンにされ、呆れられることも多かったです」

    忙しくて手が回らない仕事が山積みになっていっぱいいっぱいになったり、泣きたくなるようなときもたくさんあった。

    「ツムラは風通しが良い社風で、みんな明るく人柄が良く相談しやすい。数字に対しては貪欲だけど、ベテランの方は知識が豊富だから聞けば何でも教えてくれ、とても勉強になります」

    そんな先輩に助けられながらも、やはり自分の仕事は自分にしかできない。もともと営業職に苦手意識を持っていた星野さんは、人の1.5倍以上働いてはじめて同じ土俵に立てると考え、悔いが残らないように全力で仕事に取り組んでいる。

    「ある時、上司に言われたんです。『やるだけならみんな一緒、その上で成果を残せるかどうかだ』と。社会人はがんばるのは当たり前で、結果を残して初めて『がんばったね』と言葉をかけてもらえる。その上司の言葉を聞いて以来『がんばった』と軽々しく口にしないようにしています」

    ストイックにMR道を突き進む星野さん。もがきながらも、ある頃から営業の手応えを感じられるようになっていった。

    MRの営業は闘い。大切なのは「正しく努力すること」と「勉強を積み重ねること」

    努力が成果につながらないのは、努力の方法が間違っているから。 星野さんはそう考え、努力を正しい方向に向けるために先輩に話を聞くなどしてやり方を修正していった。 そしてある夏休みをきっかけに、徐々に努力が成果につながり始めていく。

    「夏休みの一週間を、徹底的に勉強する勉強週間にしたんです。講演会のビデオを持ち帰って見直し、使えるフレーズをまとめたりして。それからは自分の中でも知識が増えたという実感があったし、それが良い方向に向かっていくきっかけになりました」

    医師でさえ、漢方はあやしい、漢方にはエビデンスがない、という認識を持つ人もいる。その誤解を解いて治療に採用してもらい、患者さんに届けるためには自分が知識を身につけていくしかない。それがツムラのMRに課せられた役目でもあるのだ。

    「漢方はよくわからない、という医師には漢方医学的な説明より西洋医学的な薬理作用やエビデンスを重視してお話ししていくと、心を開いてくださることもあります」

    医師のささいな言葉遣いや仕草、表情から気持ちを読み取り、それぞれの医師に合った方法でアプローチしていく星野さん。努力が成果につながらず悔しい思いをしていたころとは比べ物にならないほど、3年目の今はたくましく成長していた。

    「MRの営業は医師との1対1の闘いのよう。それを何回も繰り返していくうちに、闘い方を身につけていく感じです」

    どんな治療が患者さんのためになるのか、医師にとってもMRにとっても一つ一つの選択が真剣勝負。その実践を積みながら、勉強への意欲も衰えない。

    「知識はもっともっと必要です。聞かれたことに対してスマートに、そしてダイレクトに答えられるようになりたい。絶え間なく勉強をして知識を吸収し、定着させていくつもりです」

    単に薬を売りたいわけではない。尊敬する先輩MRの背中を追い、漢方の普及を目指す

    2000年の歴史がある漢方。昔から日本人の暮らしに根付き、多くの苦しみを和らげ助けてきた。その漢方の地位を、今の時代に合わせて向上させるのが使命だと星野さんは考えている。

    「単に薬を売りたいわけではありません。漢方の使い方を正しく示し、漢方の力を理解し納得してもらう。その結果として、漢方薬を使って欲しいんです。ツムラのMRは129の漢方薬という武器を持ち、先生の使い方に合わせて処方できる。さまざまな角度から紹介できるのがツムラの良いところです」

    漢方薬は西洋医学の隙間を埋める役割が期待されている。たとえばニキビに抗菌薬を使っても効果がない患者さんに荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)という漢方を一緒に処方すると効果が発揮される、といった症例がたくさんあるのだ。

    「漢方専門医じゃなくても漢方をうまく活用されている医師は多いです。苦しんでいる患者さんの役に立てたり、開催した講演会に出席していただいた医師に漢方薬を採用されたりすると、すごく嬉しくてやりがいを感じます」

    そう笑う星野さんは、「漢方っていいよね」という人が増えていくことを願っている。

    「先輩の女性MRは自分の営業スタイルを確立していてカッコイイし、『この人すごいな』『こんな働き方は素晴らしいな』と思える先輩がたくさんいる。そんな先輩をお手本に10年はMRとしてやっていき、それからのことはその時考えたいと思っています」

    10年目を迎えた時、星野さんの目には何が映り、何を思うのか。一本気な星野さんは、おそらくその頃も変わらずに「漢方の魅力の伝道師」として邁進しているのだろう。