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30代は波乱の幕開け−−さまざまなライフイベントを乗り越えながら女性活躍を体現する

  • 最終更新:2017/09/26

    どんな状況でもステップアップに繋げようと思えるのは「この会社が好きだから」

    海外で見た大成建設株式会社のつくる建物に感動を覚え、高い志を持って入社。男性社会でありながら女性でもチャンスが与えられる環境にやりがいを感じていたが、育休から復帰すると同期との経験の差は歴然だった。多忙な夫と地方に住む両親と残業のやり繰りをしながら働き、ようやく一人前に作業所管理ができるようになった後、今の部署に異動。「社員がより良い労働環境で仕事をするためのミッション」に邁進するも、娘が小学校入学直前に夫は事故で『長期の入院宣告』を受ける事態に。働く女性が直面する数々の壁を、宮坂さんはいかに乗り切ったのだろうか。

    次世代と心に残るものづくり。海外の建設現場で感銘を受けた技術力が入社の決め手に

    大学時代は国際関係学部で学んでいた宮坂さん。単位を取得できる短期留学や趣味の海外旅行で、頻繁に海外へと足を運んでいた。

    「台湾で当社が施工していた揚炭桟橋を見て、その質の高さとずば抜けた安全対策がずっと心に残っていました。就職を考えたとき、『世界に誇れるもの』『ずっと次世代に残せるもの』をつくる仕事がしたいと思い、当社を選びました」

    この会社に決めた理由のひとつが「リクルーターとの出会い」だったという。同じ大学を卒業した先輩が面談をしてくれる制度で、ざっくばらんにいろいろな実情を話してくれるのだ。

    「『男ばかりで汚いよ、大変だよ』とだいぶおどかされ、『そんなこと言って大丈夫?』とそのときは思ったんですけど、それも優しさで。当時、総合職で女性が入社するのはまだ2期目で、ほとんど前例がなかったんです」

    何ごとにも前向きな宮坂さんには、男性社会へ飛び込む不安よりも仕事の魅力の方が優っていたようだ。

    「ひとつのものをチーム一丸となってつくりあげる現場に魅力を感じて入社を決意しました。また実際に入ってみたらOJT教育もしっかりして頂いたし聞いていた話よりは『天国』だと思いました。ものづくりを体現できるこの仕事は楽いしやりがいを感じていました。」

    順調にスタートを切ったように見えた社会人生活。しかしはじめての出産・育児を経験し、子育てをしながら働く難しさに直面することとなる。

    幸せな育休期間を経て復帰すると、同期との経験の差は歴然。負けず嫌い魂に火がついた

    社会人生活3年目で第1子を妊娠した宮坂さんは、約8ヶ月の育休を経て現場の仕事に復帰した。最初の半年は時短勤務で働いていたが、自分より約1年間分の経験を積み上げていた同期とは任せられている仕事の量や質が違う現実を見せつけられる。

    「何もかもがはじめてで、育児も子育てしながらの仕事もおどおど。でも同期との経験の差を感じてからは、すごく頑張りました。残業をしないことで得られない経験があるのは残念なので、夫と調整して残業もできる限りやるようにして。決算などの忙しい時期には地方に住む親を呼んで。研修にも積極的に参加し、会社が推奨する資格試験もすべて取り、できることはすべてやりました」

    18時に一時帰宅して子どもの夕食やお風呂を済ませたあと、残業から帰ってきた夫に子どもの寝かしつけを頼み現場に戻ることもしばしば。そんな日々を忍耐強く過ごしながら、宮坂さんにはある思いが目覚めていた。

    「現場を含めたすべての社員が働きやすい会社にしたい、特にライフイベントと仕事の両立に悩む女性が辞めなくてすむ会社にしたい、そう思い人事部を志願していまの部署に異動してきました」

    会社のみんなが働きやすい環境を整えるために、人事部の「人材いきいき推進室」で奮闘する宮坂さん。しかし自身の家庭に新たな問題が発生し、一度は会社を辞めることも頭をよぎったという。それは事故で大怪我をした夫への「長期入院宣告」だった。

    夫の入院と直面する「小1の壁」問題。そびえ立つ2つの壁を前向きに乗り越える

    翌月に子どもの小学校入学を控えていた3月、宮坂さんの夫は家族旅行中の事故で大怪我をしてしまう。そのまま旅先で入院し、今後は寝たきりになる可能性もあるだろうと医師に告げられた。

    「毎週末地方の入院先と自宅を往復して、平日は仕事と子育て、へとへとでもう仕事も辞めないといけないかもしれないと思いました。でも、家族の助けや上司や先輩の温かい言葉などがあり、乗り切ることができました」

    笑顔で「お先真っ暗だと思った」と語る宮坂さん。そして4月には子どもの小学校入学。子どもは環境の変化にストレスを抱え、働く親は「放課後の子どもの居場所」に苦労する時期だ。

    「夫の事故現場に居合わせ救急車に乗った娘はしばらく不安定になっていて。小学校入学もすごく心配していたんですが、子どもは順応性が高いですね。学校もすぐ慣れたし、遅くまでやっている民間の学童にも預けられました。使える施設は積極的に利用してやりくりしています。」

    過酷な状況に置かれているようだが、そんなときも前しか向いていない宮坂さん。その表情は涼やかだ。

    「現場では自分の父親くらいの年代の人に『事務の立場からのアドバイス』をしたり、意見を言ったりしなければなりません。男性独特の縦社会のような部分はあるかもしれないし、女性の先輩がいないので『ちょっと聞きたいな』というときに聞ける相手がおらず苦労したこともあります。それでも臆せずやってきました。この会社に強くしてもらったし、いまはどんな状況でも乗り越えられると自信がつきました。」

    どんな事情を抱えた社員もその能力を十分に発揮できる制度や支援をカタチにしたい

    さまざまな経験をバネに成長し続ける宮坂さん。いまは育児と仕事を両立する社員のバックアップや、男性の育児休業取得促進のための活動、女性活躍に係る社内のデータ分析などをおこなっている。

    「いままで2〜3人だった男性の育休取得者が2016年度は147人に増えました。育休は『男性が取れる雰囲気ではない』とか『キャリアにヒビが入る』と考える社員もまだ多くいます。でもまずは数日でも休んでライフイベントの大切な時間を家族と過ごして欲しい。そして何年か先には、それが普通になっているのが私の夢であり目標です。」

    「誰もが働きやすい会社にするための仕事」に、やりがいを感じる宮坂さん。それでもいずれ子育てなどが落ち着いたら地方の支店や海外での勤務も経験したいと考えている。

    「この部署にきてようやく1年。現場しか知らなかったので、分からないことだらけでしたが、ようやく少し掴んできた。育児や介護、病気やさまざまな事情を抱えた社員が安心して働くことができる環境をつくり、誰もがいきいきと働くことができる会社にしたい。そしてゆくゆくは会社全体のことを理解し、多角的にものごとを考えられるようになりたいです。」

    自宅近くの病院に転院した夫は、懸命なリハビリでいまは杖や支えなしで歩けるまでに回復したという。まさに奇跡の回復。今年の夏は夫の一時帰宅に合わせ、家族旅行を楽しむ予定だとか。

    「旅行が好きだし、おいしいものも好き。当時4歳の娘と2人で台湾に行き、屋台で食べ歩きしたこともありました。そんな楽しみのために頑張っています」

    女性もバリバリ働き、チャンスが与えられる。常に成長を目指す宮坂さんにとって、大成建設株式会社の仕事との出会いは、まさに運命だったのではないだろうか。