• 最終更新:2023/01/09

    はじめまして。羽衣国際大学現代社会学部の木目真由と申します。大学ではボランティアサークルに所属し、毎年タイの子どもたちへの募金活動を行っています。

    さて、みなさんは”頼ること”に対してどのような考えを持っていますか?他人任せなのであまり良いことではない、利益を得るための組織ならば頼らない方が問題である…など、様々な意見があると思います。私は高校1年生からはじめたアルバイトをきっかけに、それは案外悪いことではないかもしれないと思うようになりました。この記事では、アルバイトを通して変化した考え、私にとっての頼ることの意味、その経験から生まれた新たな目標についてお話します。新しい価値観を発見したり、目標や希望を持つことにつながる記事になると嬉しいです。

    私を変えたアルバイト先との出会い

    私は大人に頼ることが本当に苦手な子どもでした。わからないことがあった時に「教えて」と言うことができなかったのは、自分との戦いに負けた気持ちなり、そのことがかっこ悪くて恥ずかしいと思っていたからです。そんな私を変えたのは、アルバイトでの経験とそのアルバイト先で出会った仲間の存在でした。

    私は高校1年生の時からアミューズメントパークの飲食店で働いています。なぜあえて”アミューズメントパーク”の飲食店を選んだのか?と不思議に思う方がいらっしゃるかもしれません。私は幼い頃、家族と一緒にそのアミューズメントパークを頻繁に訪れていました。その時によく買ってもらったソフトクリームを販売している店員さんがいつも優しく接客していたことを今でも覚えています。もしアルバイトをするなら、当時接客してもらった店員さんのように誰かを喜ばせたり幸せな気持ちにしたい!と考え、アミューズメントパークの飲食店でアルバイトすることを決意したのです。

    頼ることに悩んだ時期に訪れた転機

    アルバイトをはじめた頃、私は社員さん、パートさん、アルバイトの先輩方から「何か困ったことがあったら頼ってね」と声を掛けてもらっていたにも関わらず、自分一人でできるだろうと考えていました。そのため、自分が忙しいと感じる場面でも「手伝ってほしいです」と誰かに何かをお願いすることはありませんでした。この”一人でも考えて行動すれば大丈夫だと思う精神”を持ち続けていた私に転機が訪れたのは大学1年生の春。アルバイトリーダーを任されたのです。アルバイト先の名物であるソクトクリームの巻き方やお客様対応など、新人指導をするのがリーダーの仕事になります。私は新しい役割をもらったことが嬉しく、成長したのだと思っていましたが、「何か手伝うことはありますか?」と聞かれても「私がするから大丈夫」と頼ることができない自分は変わっていませんでした。

    頼ることで芽生えた探究心

    夏になる頃には新人アルバイトが増え、夏休みには多くのお客様が来店するため、私は新人指導と接客で忙しい日々を過ごしました。そんなある日、私はあることに気がついたのです。自分一人の力では満足な接客ができていないということに。

    私がどれほど良い接客をして、一緒に働くスタッフをサポートしていたとしても、そこにはスタッフとの”連携”がないため、お互いの成長にはつながりません。この気づきをきっかけに、なぜアルバイトリーダーを任せてもらえることになったのかを考えた結果、15歳から長く接客を務めてきた私を信頼し、安心して任せることができるからだという結論に至りました。もしかしたら期待を裏切ってしまっていたかもしれないと思うと悔しくなり、それ以来私は「手伝ってほしい」と積極的に言うようになりました。また、スタッフ間の連携を図るために、一人ひとりの得意なこと・苦手なことを考え、意見を聞くこともしました。チームの役割を細分化し、私が余った役割を埋めるような動きをすれば、全員が本領を発揮できるようになると考えたのです。すると、手伝ってほしい時は周りのペースを見ながら素直に声をかけることができるようになりました。

    私にとっての頼ることの意味

    「手伝ってほしい」と誰かに手を借りることは、私にとってはとても大きな一歩でした。助けを求めることを覚えたおかげで、スタッフ全員がそれぞれの仕事に責任を持てるようになり、チーム一丸となって接客できるようになったのです。

    私は”頼ること”と向き合うことで、アルバイトリーダーを担う上で大切なことがわかったような気がします。チームを引っ張るリーダーもメンバーと一緒に成長することが大切。そう思うようになってからは、アルバイトリーダーという役職の重荷が軽くなったように思います。無意識のうちにリーダーは一人で頑張らなくてはならないと考えてましたが、仲間に支えてもらうことは悪いことではないし、決して負けでもなく、恥ずかしいことでもないと学びました。”頼ること”は一緒に頑張ることである。お互いに苦手な部分を補い合えば、得意な部分を伸ばし合うことができる。頼ることは働く上での一種の道具のようなものだと感じました。

    アルバイト経験のおかげで、私は”頼る勇気”が持てるようになり、自分自身の新たな長所や課題を知ることもできました。そんな私の次なる目標は、サポートリーダーになること。パズルのピースが足りない時、その余ったスペースを埋めることができる存在になりたいです。周りを巻き込み、一緒に成長し続けることができるリーダーになるためには、自分の得意・不得意を理解し、時にはメンバーに頼る勇気が必要です。かつては恥ずかしくてできませんでしたが、今は頼ることで成長できたことを実感しています。