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入社11年目ワーママ。MRから人事へ転身。会社と自分をしなやかに融合させキャリアを描く。

  • 最終更新:2021/03/10

    思い描いたキャリアプランが叶い異動。働く女性と漢方の未来に向けて邁進

    文系出身MRとして入社した築地さん。半年間の猛勉強ののちに配属された赴任地で同僚だった夫と職場結婚し、約7年半のキャリアを積んだMRから管理部門へ異動。妊娠・出産、そしてフルタイムでの復職と、女性が迎えるライフイベントにしなやかに対応していく。長期的にキャリアを描いてきた築地さんが管理部門で目指すのは、女性が働きながら自己実現できる社会と、無限の可能性が広がる漢方治療が普及する世界だ。

    文系出身でも医療に携われるMR職。知識に勝るものは明るい笑顔

    大学の人間科学部で学んだ築地さんが「漢方のツムラ」のMR(医薬情報担当者)を目指したのには理由があった。

    「認知症を患った祖母の症状が漢方薬のお陰で落ち着いたのを目の当たりにして、漢方の可能性を感じました。それをきっかけに興味を持ち、大学の卒論も漢方がテーマでした」

    MRと呼ばれる製薬会社の営業職。医学部・薬学部出身でなくても医療に携われる職種として人気がある反面、当然ながら医療や薬に関する高度な知識も求められる。

    「MRとして確かに知識は大切です。しかし知識は経験と共に身に付いていくもの。まずは知識があることより、明るくて人が好きということの方が大切です。ツムラには『明るく、正しく、逞しく』という合い言葉がありますが、その心があることが大切だと思います」

    挨拶ができる、笑顔で頑張れる、人懐っこい……。築地さんが考える“MRに向いている人”のスキルは知識やテクニックではなく、対人関係を円滑にするヒューマンスキルだ。

    「新人の頃は特に『医師に教えていただく』という姿勢で営業活動をしていました。

    入社後には半年かけてみっちりと研修が行われ、MRとして必要とされる知識を徹底的に学ぶ。さらにツムラではそれに加え、漢方医学についても勉強していく。

    「同期みんな泊まり込みで缶詰になって。そうしているうちに同期の間でいろんなドラマが起こったりして(笑)。貴重な経験ですし、今となっては良い思い出です」

    そんな築地さんは、同じくツムラのMRとして働く夫と数年前に結婚。プライベートにもキャリアにも大きな変化が起きていた。

    結婚、妊娠、出産。自身と向き合いMRから管理部門へ。自分のキャリアは自分でつくる

    自らの5年後10年のキャリアプランを描き、半年に一度提出する自己申告書。そこに「管理系の部門でのキャリア形成も考えている」と書いて提出した築地さん。

    「夫と同じ職場は少しやりづらいのと、今後子どもができてからの働き方も考え、本社勤務の管理部門という選択肢も考えていました。その希望を汲んでもらい、異動の話が進みました」

    図らずも時を前後して妊娠がわかった時に、人事部への異動が決まった。そして7年以上キャリアを積んだMRから、未経験の人事へと転身したのだ。

    「MRの属する医薬営業本部から管理部門へ異動する前例はまだ少数。でも今後は現場経験を重視して、管理部門にMR経験者を登用していく流れができてくるでしょう」

    男性社員が多いMRに対し、女性社員の比率が高い管理部門。子育てしながら働いている先輩も多く存在している。 築地さんも人事部へ異動した後に産休・育休を取得し、その後フルタイムで復帰した。朝は夫が社用車で子どもを保育園へ送り、築地さんが定時に退社して迎えに行く生活だ。

    「ここ数年、ツムラでは出産後の復職はほぼ100%。上司には『母親はあなたしかいないんだから、そこはちゃんと切り替えて頑張って』と言われています」

    理解ある上司や先輩ママの存在。そして社用車での保育園送迎、半日ごとに使える有給、フレックス出社など、子育てや介護の手助けとなる充実した制度が働きやすさにつながっているようだ。

    戸惑いながらも、新天地で見つけた新しいやりがい

    新卒採用と入社1〜3年目の社員に向けた研修が主な業務の人事部。一変した働き方に、初めは戸惑いを隠せなかった。

    「まず、それまでやっていなかったデスクワークに慣れるのが大変でした。目標設定の仕方は今でも慣れません。MRは計画数字を達成するのが目標だからわかりやすかったけど、採用や研修は成果が数字ですぐに出るものではありませんから」

    「患者さんの役に立っている」と直接的に実感できることもなくなった。しかし築地さんは、人事部ならではのやりがいを見つけていた。

    「入社1〜3年目は年に1回の頻度で研修があります。採用に携わった学生が入社して一緒に働くようになり、立派に成長していく。研修のたびに頑張っている姿を見ると、親心のように嬉しいですね」

    そしてMRとして目指していた「漢方薬を世界中の困った方に届ける」というミッションを、漢方の力を信じる人財を採用・育成するという方法で叶えていこうとしている。

    「人事部は会社の顔なので、誠実な対応を心がけています。毎年多くの学生がエントリーしてくれますが、採用人数は限られています。それでも縁あってツムラを希望してくれたわけですから、エントリーしてくれた人たちにはファンになってもらいたい。だから合否も必ず電話をかけてコミュニケーションの機会を持つように徹底しています」

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    「MRを採用しない企業も多い中、当社は採用を続けます。その一番の違いは、扱っているものが漢方薬ということです。漢方薬を一人でも多くの患者さんに届けるためには、ツムラのMRは絶対に必要です。」

    漢方薬についてはツムラしか持ち得ない情報がたくさんあり、それが患者さんに必要とされている。唯一無二であるからこそ、ツムラのMRは求められ続けるのだ。

    「高齢化や女性の社会進出もあり、漢方市場は拡大が見込めます。さらに当社では漢方薬の原料となる生薬を輸入している中国における新規ビジネスへの挑戦も始めています」

    今後の事業展開により、グローバル・ニッチのTSUMURAとしての企業価値を高めていく。 「歴史がある漢方には夢があり、大きな可能性が広がっています。漢方治療がもっと広がるように、信頼される“人”の企業集団を目指し10年は人事部でキャリアを積みたいと考えています。その後は、MRを後方支援する部署などのステージも考えたいです」

    年齢やライフステージに応じてキャリアを考えていく築地さん。そのしなやかな働き方は、ツムラに限らずこれからの働く女性のロールモデルとなるだろう。

    「この先フルタイムが難しくなったら時短にするかもしれない。そんな柔軟な姿勢でチャレンジできるのも、フレキシブルに対応してもらえる会社だからこそです」

    人を思い、自然の力を生かして助けてきたツムラだからこその柔軟性。それが、女性が長く働き続けて活躍できる会社の素地を形作っているのかもしれない。