女性社員インタビュー

多彩な価値観と働き方が当たり前の社会へ。 設立4年のIT企業を率いる女性社長の想い

  • 最終更新:2019/09/03

    一人ひとりの多様性を活かし、企業に新しい風を。理念の実現に向けた女性社長の挑戦

    企業向けにビジネスチャット、メッセージングプラットフォーム、AI分析の3サービスを提供するITスタートアップ企業のAI CROSS(エーアイクロス)。同社で代表取締役社長を務める原田典子さんは「Smart Work , Smart Life~テクノロジーでビジネススタイルをスマートに」 という理念のもと、日々事業の拡大に邁進している。そんな彼女がどのようなキャリアやライフイベントを経験し、今の理念にたどり着くに至ったかを尋ねた。

    自身の経験から生まれた『Smart Work, Smart Life』への想い

    企業の一部門からスピンアウトする形で事業を開始したAI CROSS。同社は、テクノロジーで企業の働き方改革を実現するサービスを提供している設立4年目のITスタートアップ企業だ。

    同社の代表として経営の舵取りを行っているのが原田典子さんだ。彼女が日々の業務で一番大切にしていることは、『Smart Work, Smart Life』という考えだという。

    「『Smart Work, Smart Life』とは、企業の業務効率化を推進することによって、企業の生産性を高め(Smart Work)、そして働く従業員の方も充実したライフ(Smart Life)を送れることを指しています。これは、お客様に対してだけでなく私たち自身も大切にしている考えです。」

    そう語る背景には、システム開発のベンチャー企業で一社員として在籍していた頃のアメリカでの業務経験や、母親として育児と仕事の両立を可能にしたテクノロジー体験があった。

    海外で目の当たりにした働き方に対する意識の大きなギャップ

    原田さんは大学卒業後にドイツ系ソフトウェア企業のSAPジャパンへ入社。その後はシステム開発ベンチャー企業のアメリカ法人設立に向けてシアトル、サンノゼ、ニューヨークなどで業務を経験し、現職の代表取締役に就任した。外からみると輝かしいキャリアの持ち主だが、『Smart Work, Smart Life』の考えに至る過程にはさまざまな試行錯誤があったという。

    「当時の私は、結果を出すために仕事第一でした。『No pain, No Gain (痛み無くして、最良の結果は得られない)』との想いで、もう、がむしゃらに働きましたね。まだ若かったこともあって、周りのメンバーにもそれを強く求めてしまったところがありました。
    でも、アメリカ人のメンバーの働き方は、私の想いとは全く異なるものでした。」

    原田さんは笑いながら、こう当時を振り返った。
    仕事をお願いしても、自分の職務ではないと断られることは日常茶飯事。通院や子供の学校行事などを理由に、日中に職場を離れることも一般的だったという。さらには、朝も昼もなく毎日残業している原田さんとは対照的に、定時になれば忙しくても帰ってしまう。

    「徹底的な役割分担と自身の価値観や状況に合わせた、個を最優先にした働き方が当たり前の社会でした。どうしたらもっと働いてくれるんだろう?と、そればかり考えていました。」

    個人の価値観や状況に合わせた多様性の尊重こそ、働き方改革の本質

    日本とアメリカでのワークライフバランスのギャップに悩んでいた原田さんだったが、自身の仕事について改めて考えるきっかけがあったそうだ。それは、『自分はプロフェッショナルだから、やるべきことはしっかりとやっているよ。』 というメンバーからの一言だった。

    「アメリカでは従業員の業務の役割分担は明確化されていて、個々人が高い専門性を備えながら自分のアウトプットに責任を持って働いています。そのため、一方的な考えを押し付けたとしても、モチベーションの向上や共感にはつながらず、結果として会社の生産性向上や効率化にもつながらないと実感しました。」

    目標の共有を前提とした上で、それぞれの価値観や状況を尊重することが最大限のアウトプットにつながることを理解した瞬間だった。その後も様々な課題はあったものの、現地スタッフとのコミュニケーションは以前と比べて円滑になり、業務効率を向上させることができたのだ。

    さらに、個々人のワークスタイル状況を結びつけるツールとして出会ったのが、出産・育児をしながら仕事をしていた際に利用していたテクノロジーだったという。

    「アメリカは国土面積が日本のおよそ25倍もあり、柔軟に働けるビジネス環境も日本より進んでいます。子育てをしながら働くとなると、朝に子どもの世話をしてから職場へ車で移動すると往復1時間以上もかかってしまい、タイムロスが発生します。そんな無駄をなくすことに活用していたのが、SMSやチャットでした。日本オフィスや社内社員とはチャットのやり取りやビデオ会議を活用し、外部の取引先とはSMSでやり取りをしていました。これらのツールのおかげでどこにいても仕事に専念できましたし、出産時は分娩直前まで日本とやり取りしてました(笑)。」

    これらの体験こそ、原田さんの掲げる『Smart Work, Smart Life』の理念につながっているという。

    私たち自身が『Smart Work, Smart Life』を体現する存在でありたい

    「AI CROSSは様々な価値観を持つ仲間で構成されています。異なる仕事へのアプローチや価値観で、お互いが切磋琢磨しながら成長しています。
    これからも企業とそこで働く人の『Smart Work, Smart Life』を実現するために、私たち自身が理念を体現できる存在でありたいと思っています。」

    原田さんが語るその想いは、AICROSSの企業風土によく現れている。スタートアップには珍しく、従業員の年齢構成は比較的ベテランといえる層から若い層まで幅広く構成されているだけでなく、大手外資系企業からベンチャー企業出身者、アパレル・カフェ店員、専業主婦、さらには学生インターンまでキャリアも多様性に富んでいる。

    もちろん、リモートワークやサテライトオフィス利用、副業許可制度といったスタートアップらしい取り組みや、前職や性別に関係なく本人の実力とやりたいという想いでキャリアアップを目指せる点は大きな魅力といえるだろう。

    「事業拡大という目標に向かって、みんなが一緒になって頑張っています。一方で目標が同じでも、人によってそこにたどり着くプロセスは全く異なります。それが価値観であり、様々な考えを自由に言い合えるからこそAI CROSSは創造的な企業でいることができると考えています。
    制度も必要に応じて柔軟に変えていきたいと思ってますが、使用は個人に任せています。例えば、会社に毎日出社して働きたいという人もいれば、一人で集中したい人もいますし、育児や介護などによって家から仕事しなくてはいけない状況もあります。もちろんある一定の制限はありますが、社員一人ひとりの価値観を尊重し、状況に併せて、各人が自由に選択し、最大限の効率化を実現できる環境づくりこそが重要だと思っています。」