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最終更新:2024/11/21
「まずやってみる」「きっとうまくいく」自分と仲間を信じて新しい価値を導き出す
神田神保町にて飲食店『Cafe&Dining jimbocho』、オーガニックセレクトショップ『LAULE’A(ラウレア)』を展開する株式会社マルラニ。代表取締役社長の高橋真希さんは、高卒OLだったところから起業の準備を進め独立、2016年に同社を設立した。起業後には離婚やコロナ禍など、多くの障害を乗り越えてきた。「うまくいく物事の捉え方」を武器に突き進む彼女の成功マインドについて訊ねた。
高卒OL時代の出会いを機に独立。離婚を経て、責任ある立場へ
2016年2月に株式会社マルラニを立ち上げた高橋さん。母子家庭で育ち、家族を支えるため高校卒業後に大手証券会社に入社したが、漠然と仕事をしているだけでは将来が不安と感じていた。転機となる経営者との出会いを機に独立を志したのは、社会人4年目の頃だった。
「起業後に結婚し、相手の方と一緒に事業に取り組んでいました。当時はその方が矢面に立ち、自分はどちらかというと裏方のような存在でいました。『こうした方がいいのでは?』という意見も言いづらく、少しずつ関係性に変化が生じてきて。今思い返してみると、自分が知識不足だったり、精神的に未熟だったように思います。」
離婚をきっかけに自分がすべての責任を負う立場になったからこそ、より仕事に打ち込むようになり、『Cafe&Dining jimbocho』と『LAULE’A』を出店した。
「立ち上げ時期に一番お世話になった経営者がいます。仕事の厳密さ、成果への責任を教えてもらいました。その方は今もなお、大きな成果を作られていて尊敬しています。」
志を共にする仲間が集える場所を。順調に想いをカタチにする中おとずれた危機
仕事で成果を上げていくにつれて、高橋さんと同様に起業を目指す仲間が集まってきた。人が集まるにつれて「夜遅くまで仲間と集まれる場所を作りたい」と考えるようになったそうだ。さらに、仲間の中に料理ができる人がいたため、飲食店としてオープンすることを決めた。こうして『Cafe&Dining jimbocho』は、昼間はハワイアン料理をメインに提供するカフェ、夜は仲間が集まれる貸切スペースとしてオープンした。
「はじめから飲食店をやりたいと思っていたわけではありません。志を持った仲間たちとの出会いからインスピレーションを受けました。料理において腕があるから独立するというのも一つの開業の理由にはなりますが、経営とは全く別物です。起業を志している人が活躍し、かつ売り上げをつくる基盤を固めることが大切だと考えています。」
仕事で携わるすべてのメンバーに、将来的に起業する前提で経営者意識・当事者意識を持って取り組むことを求めている。『自分がお金を出すつもりで取り組むことで考える力がつく』という価値観を、高橋さんは大事にしている。
『Cafe&Dining jimbocho』は順調に営業を進めてきたが、思いもしない事態が高橋さんに振りかかる。2020年、コロナウイルスが世界的に蔓延。緊急事態宣言や3密の徹底により、外食や人が集まる機会が激減したのだった。
信頼できる仲間との作戦会議。試行錯誤の末に掴んだグランプリ
コロナ禍は多くの飲食店に暗い影を落とした。高橋さんはこの状況をどのように乗り越えたのか。率直に訊ねてみた。
「関係者を集めて作戦会議を実施しました。そのとき飲食コンサルタントの友人から「カレーをメインにしてはどうか?」とアドバイスを受けたのですが、『え!ハワイアンなのに!?』と、流石に戸惑いましたね。」
そう笑いながら教えてくれた。しかし、餅は餅屋。自分がやりたいことよりも、実績を作っている友人の経験値を借りることにした。
カレーをメインに据えることに決めた後は、ミシュランの星付きレストランで修業を積んできた店長の茂山さんとの試行錯誤の日々。味だけではなく、料理が運ばれた瞬間に感動が呼び起こされる『見た目』にも着目。そして、食べることで『癒し、慈愛』を提供するという新しいコンセプトも盛り込むことにチャレンジした。
「飲食コンサルタントの友人に何度もダメ出しを受けました(笑)。お店のコンセプトをよりわかりやすく表現するのにも一苦労。しかも茂山はカレーづくりにおいては未経験で、おまけに辛いものが苦手。たくさんのお店のカレーを一緒に食べに行き、味の研究を繰り返しました。」
半年におよぶ開発期間を経て、2023年5月から薬膳カレー屋としてオープン。同年11月に開催された神田カレーグランプリでは見事優勝を掴み取った。
「これまで学んできたフレンチの技法を駆使しながら、カレー素人がゆえの『先入観のないまっさらな発想』を組み合わせました。その結果、カレー激戦区・神田エリアに今までなかった新しい価値を生み出すことができました。」
仲間とのエピソードを楽しそうに振り返る高橋さんの姿が印象的だった。
「必ずうまくいく」自分を信じて。ビジョンを叶える起業家の輩出を目指す
神田カレーグランプリ2023優勝後、『Cafe&Dining jimbocho』はさまざまなメディアに取り上げられた。監修したレトルトカレーも全国で販売されることになり、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで認知を広げている。
「困難なことにあたったとしても必ず打開策があります。そんな時こそチャンスであり、今までにない全く違うものが生み出されるものです。」
苦難を乗り越えた高橋さんの言葉は力強い。
運営している店舗はプロジェクト制を採用しており、起業を志す若者に経営を実践する場として提供しながら育成にも力を入れている。また、女性の起業も推奨しており、高橋さん自身の経験をもとに、講演活動を通じて自立の重要性を伝え続けている。
「携わるメンバー全員が起業家意識を持ち、一緒にビジョンを掲げて仕事できることが、飛躍的な結果を追いかけられている要因だと考えています。そして、女性が会社やパートナーに依存せず、自分で生活や人生の基盤を築く。そして何かあった時には自分と家族を守れる力を持っている。そんな自立の上に、自分の幸せは自分で掴み取るというメッセージを今後も発信していきたいです。」