就活研究記事

【就活研究記事】ママさん社員の活躍を企業成長に結びつけるポイントとは??

  • 最終更新:2023/07/03

    昨今、女性活躍が推進され、様々な認定や宣言、アワードなど増え続けている。
    これは、2016年に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」が制定されたことと、2022年にこの法律が改正され対象企業が拡大、女性活躍について、1項目以上の情報公開が義務づけられたためと考えられる。

    最も有名な認定でいうと“くるみんマーク”だろう。くるみんマーク認定を取得する企業は年間で200社以上ずつ増加しており、これまで3,500社以上の企業がくるみんマーク認定を取得している。この5年間で、約1.23倍の増加だ。

    その他には、旧来式のビジネスや組織に革新をもたらす女性リーダーを表彰するアワード「TIGER WOMA OF THE YEAR」や、女性リーダー、プロフェッショナルを続々と輩出している企業、そして自ら道を切り拓き自分らしく働く女性を讃えるアワード「Forbes JAPAN WOMEN AWARD」で選定されることを目的にしている企業が多い。

    例として、女性が活躍している企業を一部抜粋し紹介する。

    (厚生労働省の女性の活躍推進企業データベース参照)

    • 株式会社明治
      病気・不妊治療休暇、育児・介護休業法を上回る休暇制度の設置、育児をテーマとした希望者参加型ERGの設置、育児休業期間中の情報提供支援サービスの拡充とサポートが手厚い。女性社員比率は20.2%

    • 株式会社ADKエモーションズ
      「ノー残業デー」・「一斉有給休暇取得日」・「有給休暇取得奨励日」等を設定し、健康経営に取り組んでいる。女性社員比率は45.6%。

    もう1社、女性の活躍によって、企業成長を加速している企業がある。それがエッジコネクション。女性社員が全体の8割を占めていて、7期連続増収12期連続黒字を達成。今回、この企業におけるママさん社員活用の秘訣に迫る。

    仕事と子育ての両立においてママさん社員が大変なこと

    エッジコネクションでは、実際にママさん社員の実情がどうなのか、社内と社外に向けて簡単な無記名アンケートを実施している。その結果、社内社外ともに仕事と子育ての両立において大変なことは、「時間に追われる」というもので、想像に難くない結果と言える。

    2番目の理由では、社外と社内で差が出ていた。項目としては、どちらも「勤怠が乱れやすい」というものだったが、社外アンケートでは1位の「時間に追われる」とかなり得票数に差がついていたのに対し、社内アンケートでは1位と僅差であった。つまり、社外のママさん社員よりエッジコネクションで勤務されているママさん社員の方が、勤怠の乱れについて仕事をしていく上でのハードルと考えているようだ。言い換えると、勤怠の乱れを気にする意識が高いと言える。

    実は、この点にママさん社員が活躍できる職場環境作りのヒントがある。

    「子育て社員への理解」とはすべてを受け入れることではない

    エッジコネクションでの社内アンケートの結果で、勤怠の乱れを意識するママさん社員が多いことがわかった。それは、「お子さんが理由の勤怠の乱れは他の社員が全員でその日のうちに巻き取る」という、エッジコネクションで気をつけられていることと合致している。自分が休んだことによって遅れた仕事は、明日自分で巻き返すのではなく、休んでいる間にも他の社員が進めることを徹底している。

    「あなたが休んだときに私が頑張ったから、私が休んだときはよろしくね。」

    暗黙の了解でこのような文化が、エッジコネクションでは成立している。この文化がなく、仕事は後ろ倒れ、後日自分がうまく巻き取れなかった場合は、緊急で重大な出来事にまで発展してしまった状態での巻き取りが発生しないだろうか?

    そうすると、頑張った人にばかりしわ寄せがいくとともに、ママさん社員は「子どもの体調」を免罪符として業務効率が上がらないという状態になり、ママさん社員が企業成長に結びつかない。

    互いに迷惑を掛け合うことを受け入れることが成長の鍵

    子どもの体調はいつ悪化するかわからないため、ママさん社員は突発的に休んでしまうことが多々ある。そのようなとき、「復帰してから頑張ろう!」というのと、「今この瞬間も私の仕事を巻き取ってくれている!」というのとでは、当然、前者のほうが心理的負担は軽いだろう。後者は申し訳無さが募る。しかし、前者は仕事が進まずお子さんの体調不良が長期化すると大きなトラブルに繋がる恐れがあるが、後者は仕事を他のメンバーが巻き取ってくれているため、仕事そのものに遅れは出ず、安心して休むことができる。

    このように、「迷惑がかかっている。でも、みんなのお陰で看護に集中できる。」という社風が重要だ。これにより、仕事が遅れず、復帰した際に、次に休んだ人の分も頑張ろうという気持ちに、心からなれる。そのような「私が休んだときカバーしてくれてありがとうね!」の連鎖を作ることがママさん社員を成長の原動力にする鍵なのだ。

    ホッコリできる制度も重要

    このように、迷惑がかかっていることを認識する仕組みが企業成長につながることはご理解いただけたのではないだろうか。ただ、当然、これだけだとどこかで息切れしてしまい、「この会社にはついていけないかも」と思ってしまいかねない。よって、引き続き頑張ろう!と思い続けられる制度が重要になってくる。エッジコネクションでは、様々な制度を運用されているそうだが、その中でも社内で実施したアンケートで好評だったものは以下の制度だ。

    • ◆成長セッション:2週間に1度、上司と自分の成長ポイントについて話し合うセッションお互いママさんだと子育ての相談になることも
    • ◆バースデープレゼント制度:誕生日に5000円相当の希望のものをプレゼント
    • ◆レクリエーション費補助:当社社員3人以上で食事などをする際に毎月3000円補助
    • ◆勤続表彰制度:※2年以上勤務した方に毎年勤続年数と同額万円の旅行券進呈(上限5万円)
    • ◆連絡ツールの使用禁止時間:ゆっくり休むため20時以降および休日はチャットなどの使用は禁止

    このような制度を運用し、「よし、頑張ろう!」という気持ちを長く持ってもらえるようにすることが、社員さんの満足度に繋がっていくのだろう。

     

    本当の働きやすさを考えることとは?

    ママさん社員を抱える企業の中には、「〇〇さんはお子さんいるから仕方ないよ。」などと、ケアしてあげているところも多いかと思う。しかし、そのケアにより、仕事の遅れやママではない社員の不満、ママさん社員のもうひと頑張りの欠如など、様々な見えないデメリットが起きている可能性があることは知っておく必要がある。

    本来、人は精一杯頑張って、何かしらの結果を出して、自分の成長を感じたとき、やりがいや幸せを感じる生き物だ。働きやすい環境を作ろうとするあまり、やりがいや幸せを感じにくくしていないか、少し立ち止まって考えてみると良いかもしれない。