男性育休のリアルまとめ。「形だけの取得」で終わらせない「業務平準化企業」の見分け方
公開日:2026年6月8日
最終更新日:2026年06月05日
NOZOKIMI編集部(株式会社プラスカラー)
「NOZOKIMI-ノゾキミ-」はキャリアを考える全ての女性に対して企業選びの参考になる情報提供や接点を提供することを目的に運営しています。「この会社で働いている理由」「なぜ入社を決意したのか」「どんな仕事を取り組んでいるのか」など社内で働く女性社員にインタビューを行い、女性社員の生の声を届けています。
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2025年4月および10月の相次ぐ育児・介護休業法の改正を経て、日本の職場における男性の育休取得は「特別なこと」から「当たり前の義務・権利」へとフェーズが変わりました。
厚生労働省が発表した「令和6年度雇用均等基本調査」によると、かつて(2022年度まで)は17.13%と10%台に低迷していた男性の育児休業取得率は、直近で40.5%にまで急上昇しています。依然として女性の取得率(86.6%)には及ばないものの、職場の景色は確実に変わりつつあります。
しかし、この急激な数値の上昇の裏で、新たな問題が浮き彫りになっています。それが「形だけの育休(とるだけ育休)」です。 「数日だけ形ばかり休んだが、実態は家事育児に参加していない」 「自分が休んだツケがすべて同僚に回り、復職後に職場にいづらくなった」 「休んでいる間も、チャットツールでひっきりなしに業務連絡が飛んできた」。
せっかくの育休が、本人のキャリアへの焦りや、周囲の負担、組織の疲弊を生んでしまっては本末転倒です。これからの時代、本当に注目すべきは、男性育休の「取得率」という表面的な数字ではありません。「男性が長期間育休を取得しても、ビクともしない組織(業務平準化が進んだ企業)」をどう見極めるかです。
本記事では、最新のデータと業種・職種別のリアルな考察を交え、男性育休をフックに「本当に働きやすい組織」を見分けるための深層レポートをお届けします。
1. データで紐解く「男性育休40.5%」の不都合な真実
数字が40.5%まで跳ね上がったことは大きな進歩ですが、AIによるデータ分析や市場の実態を見ると、この数字には「大きな偏り」があります。私たちが情報収集をする上で、まずこのデータの構造(内訳)を正しく理解する必要があります。
①「取得日数」に隠されたギャップ
女性の育休取得期間は「半年〜1年以上」が主流であるのに対し、男性の育休は「2週間未満」が全体の約5割を占めているのが現状。 法改正によって「出生時育児休業(産後パパ育休)」が新設され、分割取得が可能になったことで「取得者数(率)」は増えましたが、1週間程度の取得では、本当の意味での「育児の主戦力化」や「長期不在に伴う業務の引き継ぎ」には至っていません。
② 企業規模による「二極化」
40.5%という数字を牽引しているのは、主に従業員数500名以上の大企業。大企業では2023年以降、育休取得状況の公表が義務化されたため、経営陣が本気で動き、取得率が70〜80%を超える企業も珍しくない。しかし、 一方で100名未満の中小企業では、依然として「属人化」の壁が厚く、男性が育休を切り出すこと自体のハードルが依然として高いという実態があります。
2. 【業種・職種別】男性育休と「業務平準化」の現在地
男性育休の取りやすさと、それに伴う「キャリアへの影響」は、業種や職種によって構造的な難易度が異なります。それぞれの実態をマトリクスで考察します。
① IT・通信・クリエイティブ職(難易度:低〜中)
- 特徴: リモートワークやフレックス制度、非同期コミュニケーション(Slack、Notion等)が定着しているため、元々「時間と場所」の制約が少ない業種です。
- 平準化の実態: タスク管理ツール(JiraやAsanaなど)で業務が可視化されている企業では、引き継ぎが比較的容易です。男性が1ヶ月以上の育休を取得しても、プロジェクトへの影響を最小限に抑えられます。ただし、エンジニアの「特定の開発案件のブラックボックス化」が起きている場合は、休職中にチャットで呼び出されるリスクが残ります。
② 製造業・メーカー(難易度:中)
- 特徴: 工場や生産ラインを持つ企業では、従来からシフト管理や「多能工化(一人の作業員が複数の工程をこなせること)」が進んでいるため、実は「現場職」ほど育休の穴埋めが組織システムとして確立しています。
- 平準化の実態: 事務職や開発・研究職よりも、工場勤務の男性の方が「交代要員が確実に手配される」ため、100%仕事を忘れて育休に専念しやすいという逆転現象が起きています。
③ 営業職・コンサルティング職(難易度:高)
- 特徴: 最も「属人化」が起きやすく、男性育休のハードルが高い職種です。「顧客との人間関係」が成果に直結するため、担当者が長期不在になることへのリスクを個人も組織も恐れます。
- 平準化の実態: ここで男性が育休を取得できている企業は「本物」です。個人商店型の営業スタイルから、SFA(営業支援ツール)を活用した「チーム担当制」へ組織変革を行っている証拠であり、復職後も時短勤務などで成果を上げやすい環境が整っています。
3. 「形だけ」を排除。「業務平準化企業」を見抜く4つの独自視点
求職者として情報収集をする際、単に「男性育休取得率〇%」という宣伝文句に騙されないための、NOZOKIMI流の深掘りチェックポイントです。

特に「② 男性の育休取得率」は重要です。男性が当たり前に1ヶ月以上の育休を取得し、その間の穴埋めを経験しているチームは、組織全体の「誰かがいなくても回る仕組み(平準化)」が極めて高いレベルで完成している証拠だからです。
視点1:平均「取得期間」が1ヶ月を超えているか
数日の育休は「育児のサポート(手伝い)」で終わりますが、1ヶ月を超えると「主たる保育者」としての経験になります。また、組織としても「1ヶ月間、その人がいなくても回る仕組み」を作らざるを得なくなります。人事データとして「取得率」だけでなく「平均取得期間」を公表している、あるいは面接で開示してくれる企業は信頼に値します。
視点2:不在期間の穴埋めが「仕組み」で行われているか
誰かが育休に入る際、残されたメンバーの対応策が「残業でカバーする(個人の犠牲)」になっている企業は危険です。
- 業務の優先順位を下げて全体のタスク量を減らす
- 派遣社員や業務委託を迅速にスポット補填する
- 属人化していたマニュアルをオープンにする このような「組織レイヤーでの対策」が講じられているかが分岐点です。
視点3:育休取得後の男性の「昇進・キャリアパス」
「育休を取ったら出世コースから外れる」という暗黙の了解(パタニティトラック)がないか。復職後、半年〜1年以内にマネージャーへ昇格した男性社員の実例があるか、あるいは育休取得者自身の評価が「休んだ期間のみの日割り計算」ではなく「時間当たり生産性」でフェアドリブンに評価されているかを確認します。
視点4:経営陣(役員・管理職)の取得実績
言葉で「育休を取ろう」と言う社長自身、あるいは現場のマネージャー層が自ら育休を取得した実績があるか。トップダウンで「休む背中」を見せている組織では、一般社員が育休を取得する際の心理的ハードル(罪悪感)がゼロになります。
4. なぜ「男性育休が取れる会社」は、すべての社員にとって働きやすいのか?
一見、これから子供を持つ予定のない人や、独身の社員には関係がないように思える「男性育休」ですが、実はこの指標こそが「すべての社員の働きやすさ(サステナビリティ)」に直結しています。
理由A:突発的なリスクに強い組織である証明だから
男性が当たり前に1ヶ月〜数ヶ月育休を取れる組織は、育児に限らず、以下のような「誰にでも起こりうる突発的な離脱」に対応できるインフラ(マニュアル化、タスク共有)が完成しています。
- 親の介護(介護休業)
- 自身の突然の病気や怪我(傷病手当・休職)
- 突然の退職・転職
理由B:長時間労働(ハードワーク)に依存しない評価軸があるから
男性育休が進むと、チーム全員が「限られた時間内で最大の成果を出す」方向へ舵を切らざるを得なくなります。結果として、無駄なミーティングの削減、業務のDX(自動化)が進み、職場全体の残業時間が減少します。
5. 【実践編】NOZOKIMIを活用して「本物の組織」をノゾキミ!
求人票を眺めるだけでは、その企業が「40.5%という数字を整えただけの会社」なのか、「本気で業務平準化に取り組んでいる会社」なのかは分かりません。NOZOKIMIが提案する、企業の「内実」の確かめ方です。
① 「当事者以外」の声をチェックする
NOZOKIMIのインタビューやストーリーを読む際、育休を取った本人だけでなく、「その時、同じチームにいた同僚や上司」がどう語っているかに注目してください。
- 「〇〇さんが育休に入る前に、業務をすべてNotionに切り替えたので、不在中も困りませんでした」
- 「彼が休んだことで、自分の業務範囲が広がり、むしろ成長の機会になりました」 こうした言葉が出てくる企業は、ワークシェアリングが完全に成功している証拠です。
② カジュアル面談(Want connect)での質問戦略
気になる企業を見つけたら、まずは「Want connect」から人事や現場社員とのカジュアル面談を設定し、以下のデータをフラットに聞いてみましょう。
【実態を炙り出す質問例】
- 「男性の育休取得率40%という素晴らしい実績をお持ちですが、みなさん平均してどのくらいの期間(日数)を取得されていますか?」
- 「営業職(または該当の職種)の男性が育休を取得される際、担当されているクライアントの引き継ぎや、不在中のフォローはチーム内でどのようにシステム化されていますか?」
- 「育休から復職された男性社員の方が、その後どのようなキャリア(昇進など)を歩まれているか、具体的な事例があれば教えてください。」
数値の裏にある「運用のストーリー」を聞くことで、その会社のカルチャーが100%見えてきます。
6. まとめ:ライフイベントを組織の「強み」に変える企業へ
2026年現在、少子高齢化に伴う労働人口の減少が進むなかで、個人の犠牲や根性論に依存する組織は生き残れません。
男性の育休取得率40.5%というデータは、日本企業がようやく「働き方の構造改革」に着手したサインです。大切なのは、この変化を単なる「労務リスクの回避(法律を守るため)」として捉えている会社ではなく、「組織全体の生産性を高め、属人化を排除する絶好のチャンス」として捉えている会社を選ぶことです。
ライフイベントを迎えても、キャリアのアクセルを踏み続けられる環境は、必ず存在します。
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NOZOKIMI編集部(株式会社プラスカラー)
- 設立年月
- 2013年3月15日
- 従業員数
- 非公開
- 女性従業員数
- 全体の80%
- 事業内容
「NOZOKIMI-ノゾキミ-」はキャリアを考える全ての女性に対して企業選びの参考になる情報提供や接点を提供することを目的に運営しています。「この会社で働いている理由」「なぜ入社を決意したのか」「どんな仕事を取り組んでいるのか」など社内で働く女性社員にインタビューを行い、女性社員の生の声を届けています。
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