安井想_私がインターンをする理由

私がインターンをする理由

  • 最終更新:2021/02/18

    早稲田大学3年の安井想です。大学では教育学部で広く心理学を学んでおり、現在は22卒として就職活動に勤しんでいます。ここでは、①「インターンに参加するまでの就活」、②「インターンに参加してから」、③「インターン参加を迷っているなら」について話していこうと思います。私は最近まで明確な目的もないまま漠然と就職活動を行っていました。きっと自分なら第一志望への適性と知識があるとたかをくくり、それに向かって周囲の可能性を見ようともしないまま走り続けていたからです。結果その夢はいともたやすく打ち砕かれ、自らを見つめ直すいい機会になりました。その機会は間違いなく、インターンシップに参加したことで得られたものです。その経緯を通して皆さんにもインターンシップ参加の意義が伝わることを信じて、この記事を書いていこうと思います。

    〜誰にも未来がわからない状況で〜

    就職活動は今年度の5月にはじめました。コロナ禍でどうなるかわからない状況の中で、まず様々な視点から情報を得なければならないと考え、en-courageなどの就職支援団体にいくつか登録しました。昨年の内定取り消しや「今年は就職難」という噂を耳にしていたので、「自分は早い時期から就職活動を始めたのだ」と安心感を得ようとしていました。第一志望業界は昔から好きだったゲームを作るゲーム業界。それ以外の業界は情報収集をしようとも思っていませんでした。就職支援団体から送られてくる説明会や1Dayインターンシップに適当に参加し、「やっぱり私にはゲーム業界しかないな」と軽率に考える日々。ゲームだけは小さい頃からやり込んでいたのでゲーム業界に対してだけは謎に自信がありました。そのため、自己分析やガクチカのブラッシュアップなども団体のアドバイザーに従うばかりで全く「自分」という存在に向き合うこともないまま淡々と日々が過ぎていきました。そうして出来上がったガクチカは今の自分が見返しても愕然とするほど「自己」が無く、就活のために作り上げられた虚構。その虚構を使って第一志望を含め合格通知をいただいたインターンシップに心踊らせていました。

    〜夢を「夢」のまま追いかけることができた頃〜

    第一志望業界の研究は進んで行っていました。その会社が自分の好きなゲームを作っていたり、会社概要や昼休みに社員がゲームをしている写真などを見ていると、夢は夢のまま膨らんでいきました。その夢で視界がさえぎられ、他業界を見るための目は完全にくらんでしまっていました。そして待ちに待った第一志望のインターンシップ当日。オンライン開催で日程縮小という想定外はあったものの、概ね予定通りにインターンシップは始まりました。しかしいざ始まってみると、そこに存在したのは、キラキラしたものに囲まれて面白いアイデアを捻出し名作を生みだす自分ではなく、他の参加者との企画力の差を感じて焦り、0から1を生み出す難しさにもがき苦しむ自分でした。周りの考えるゲームが全て自分のものより面白く見え、考え直そうにも貧困な引き出しからでは同じようなアイデアしか出てこない。はじめてのインターンシップは挫折とギャップで、私の頭の中はクエスチョンで埋め尽くされることとなったのです。それでも、大好きなゲーム業界で働くことへのこだわりや生み出す楽しさを求め、現実から目を逸らしながらゲーム業界のインターンシップに参加し続けることになります。

    〜夢がゆめになった瞬間〜

    今まで就職活動の全てをゲーム業界に捧げてきたことが大きく、他の業界を見る決断ができずにいました。しかし、インターンシップに参加した第一志望の会社に一次面接で落とされてしまったことがきっかけで、無限に湧きあがってくると思われたゲーム業界への熱意が失われ始めました。それでも諦めきれずに複数のインターンシップに参加しましたが、回数を重ねるにつれギャップは全身を覆い尽くし、無視することができなくなっていったのです。根拠のない自信も、あるはずだった才能も、インターンシップを重ねる度に「自分はこの業界に行くべきではない」という思いに変わっていきました。そうしていつしか、私の夢は追いかけるべきではない「ゆめ」に変わってしまったのです。ここでようやく、「就活のための虚構」では無意味で、本当の意味で向き合わなければならないことに気づきました。とはいえ、ずっと諦めきれなかったゲーム業界から離れ、またゼロから就職活動に臨むことは腰が重く、葛藤もありました。しかしここで就職活動を辞めるわけにはいかないと、半ば焦燥感に駆り立てられる形ではあるものの、わずかに残った行動力を糧に、こうして視点を大きく変えた業界で記事を書かせてもらっています。 

    〜自分が感じたことの重要性〜

    今では、ゲーム業界に進むことをやめてよかったと考えています。インターンシップで抱いた思いはネガティブなものであっても、確かに「自分の感情」であり、それは参加しなければ得られなかったことです。自分が実際に何を思うかは、その業界の何かに関わってみるまではわかりません。私はインターンに参加することによって、夢と現実のギャップをこの身で味わい、無視できないほど大きいものなのだとわかりました。この体験談を読んでもインターンシップへの参加を迷っているなら、あなたはもしかしたら一生そのギャップに気づかず、入社後に苦しみ続けることになるかもしれません。私は当初、インターンシップは企業側の情報提供と青田買い目的のものであって、興味のある業界だけ参加しておけばいいと考えていました。しかしゲーム業界で挫折した後、凝った価値観をかなぐり捨てて参加した他業界のインターンシップは色鮮やかに輝いて見えました。インターンシップは理想を抱く人間に業界の「真」を教えてくれる場であり、自分の価値観を見つめ直すきっかけを与えてくれる場でもあることに、ぜひ気づいて欲しい。あなたが心から追える夢を手にできることを願っています。

    インターンシップは、会社がどのようなものかを知るだけではなく、「自分がどんなことがしたいのか、どんなことができるのか」も学ぶことができる大切な場です。迷いの中には使命感や何らかの焦燥があるはずです。その感情に一度身を任せ、体を突き動かしてみてはいかがでしょうか。一度動くことができれば、インターンシップがあなたにもたらすものは、途方もなく大きいものになっているはずです。