• 最終更新:2020/08/19

    かつて日本の新卒は、まっさらであることに価値がありました。一括採用された新卒は一律の初任給でスタートし、会社都合での配属・異動・残業に文句を言わず、会社のカラーに染まった人が評価されていたのです。しかし終身雇用が保障されない今、その構造はもはや崩壊しています。雇用形態が変われば、採用方法も当然変わることになるのです。

    新卒一括採用にもメリットはあった

    経済が右肩上がりの時代は、多くの労働力を効率的に確保するために新卒一括採用が有用でした。新卒はポテンシャル重視で採用され、職務や場所を決めずに無限定で会社と雇用契約を結ぶ「就社」。こういった雇用はメンバーシップ型と呼ばれ、勤続年数に応じて年功序列で昇給していきます。 経済成長の時代はそれで良かったのでしょう。しかし大企業が早期退職を募るニュースを頻繁に耳にする今、もはやこのシステムは機能不全に陥っていると言えます。

    ジョブ型での雇用こそが本当の「就職」

    同一労働同一賃金の施行、そしてコロナ禍をきっかけに注目が高まっているのが、欧米で一般的なジョブ型雇用。ポジションごとに職務領域が明示され、条件に合致する人材と報酬などを定める契約を結ぶ雇用形態です。年齢や勤続年数は問わず、重視されるのはスキルと成果。職を選ぶ「就職」なので、会社都合による異動や配置転換はありません。自らの市場価値を磨いていくことで、自らの働き方をデザインしていくことが可能になるのです。

    就活ノウハウだけでは通用しない。求められるのはスキル

    ジョブ型が推進されると同時に増加しているのが、一律の初任給制度の撤廃です。急速に変化し続ける時代に競争力を手に入れるため、企業は優秀な人材を確保しなければなりません。まっさらで画一的な量産型の新卒ではなく、次世代を担う抜きん出た逸材を求めているのです。 このままジョブ型が促進されれば、スキルを持たない今の学生が就ける職業はかなり限定されます。今後身につけるべきなのは、新卒一括採用前提の就活ノウハウだけではなく、自分を売り込むためのスキルと経験値です。

    変化する雇用に対応し自らの働き方を選ぶために

    もし22卒の就活生が、なんの疑問も持たずに「新卒一括採用」で「就社」しようとしているなら、そのメリット・デメリットを一度確認しておくことをおすすめします。コロナ禍で不確定要素の多い時代だからこそ、思考停止に陥らず自分のキャリアは自分で選び取ってください。

    《これからの雇用》
    ●新卒一括採用で「就社」するメンバーシップ型は崩壊しつつある
    ●職務領域と報酬を定めて雇用契約を結ぶジョブ型が推進されている
    ●スキルにより新卒初任給から差がつく給与体系の導入が増加
    ●学生時代にビジネスのスキルと経験を身につける必要がある